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本誌編集部◎村上敬洋
掲載号: 2009年8月1日号
朝イチから本命が出現 こりゃあ凄いぞ!
船長の指示は底から3メートル上。シマアジの釣り方は地域によって異なるが、ここではいったん底までオモリを落としたら3メートル上までシャクリ上げ、そのままゆっくり竿を上下させてアタリを待つというスタイル。
朝のチャンスで竿を出したい気持ちはやまやまだったが、まずはカメラを手に近況を尋ねてみる。
船長によれば5月の下旬から1〜2キロのシマアジが船中数尾ペースで釣れていたそうだが、6月に入ったころからジワジワと数がのびはじめ、私に電話をくれた18日ごろから本格的な釣れ具合に突入したとのこと。
目下の釣り場は島周りの岩礁帯がほとんどで、水深20〜30メートルほど。海底の起伏は激しく、運が悪ければオモリを底に落とした途端に根掛かりすることもあるとか。
さて開始から10分。船中でイサキ2尾が顔を出したあと、激しいアタリが左ミヨシの佐藤昌克さんに訪れた。竿先をバタバタと大きく揺らす独特な抵抗……これは本命シマアジに違いない。
慎重なヤリトリを続けていた佐藤さんだったが、ズズッと道糸を引き出されたあとでピタッと魚の動きが止まった。
「あれ、潜られちゃったんじゃねーの?」そんな声があちこちからかかる。
「ちょっと貸せ〜!」と黒田兄さんが竿を取って、ガシャガシャとあおる。
もうダメだろうと思いながら眺めていたが、再び竿先に生命感が戻り、歓喜の中で2キロ級が取り込まれた。
そのシマアジの口に刺さっていたのは青と白のウイリーを巻いたチヌバリ8号。シマアジ狙いに使うハリ、とくにウイリーを巻く場合にはハリ先がネムったムツバリなどを思い浮かべる方が多いかもしれないが、植長丸ではチヌバリがスタンダードとなっている。
船長によればチヌバリは他のハリに比べて軸が細めのため、ハリが刺さったあとのハリ穴が広がりにくく、結果としてバラシも少ないそうだ。
もっとも掛かり所が口の弱い所ならどんなハリでもバレてしまうが、竿を手に持って、ガガッとアタリが出たところで合わせを入れてやれば上アゴなど硬いところに刺さりやすく、比較的バラシも少なくなるのだという。
逆に置き竿に掛かった魚はどういうわけか唇の弱い所に刺さることが多いようで、バラシも目立つと教えてくれた。
そのあと30分ほど狙ったが、佐藤さんの1尾きりで朝のチャンスは終了。マダイやイサキメインの五目釣りに転進し、しばらくシマアジ場を休ませることになった。
このように新島のシマアジ狙いは朝から沖揚がりまでずっと続けるわけではない。30分くらいシマアジを狙って、食いが止まったら他の釣り場で五目釣りを行い、ころ合いを見てシマアジ釣り場へ戻る。これを何度かくり返すのだ。
ちなみに五目釣りのポイントは新島のあちこちに点在しているが、当日は式根島との中間の水深40〜50メートル前後を中心に狙った。仕掛けは図のようなハリス4号の全長6メートル、3本バリが標準。市販仕掛けでは駿河湾や南伊豆向きのイサキ仕掛けがこれに相当する。
仕掛けを沈めるとすぐにアタリは訪れ、イサキやマダイが次つぎに上がった。私が驚いたのはイサキのサイズで、30センチ級は当たり前、40センチに迫る大型も交じった。
しばらく五目釣りを楽しんだあと、8時過ぎにシマアジ釣り場に戻るとのアナウンス。
「今度こそシマアジを!」と船中全員が気合を入れる。
仕掛けを投入し、底から3メートル上までシャクリ上げると、左ミヨシ3番の長山さんにヒットし、1.5キロ級が釣れ上がる。同時に右舷でもアタったようだが、これは残念ながらフックアウト。
Page1 仕事は後回し シマアジを夢見て急行
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