午前10時過ぎ、撮影も一段落したので私も釣りを開始した。
　仕掛けは図のような自作の8本ツツ仕掛け。イカヅノは船長おすすめのビードロ針11センチダブルカンナをメインに用いた。
　駿河湾では魚型の平たいタイプのツノが定番と思われがちだが、船長によると、「今年は魚型よりも棒状のツノがよく、常連の多くはビードロ針を使っている」とのこと。また「ダブルカンナは高速で巻き上げてもイカがバレにくいので、水深のある場所では絶対におすすめ」とのことであった。
　オモリが底に着いたあと、期待を込めて誘いを入れるが乗りはない。釣り人の間から、「今日はこれで終わりか？」の声も聞こえてきた。この時点でまだ1杯もイカを釣っていない私は涙目状態になる。
　しかし11時を過ぎると潮が徐々に緩くなり、再びイカも乗り始めてきた様子。私も期待しつつ投入すると、オモリの着底と同時に明確な乗りがあり、スルメイカが3点掛けで上がってきた。「次こそヤリイカ！」と念じて投入すると、再び着底と同時にアタリがあり、今度は35センチ級ヤリイカの4点掛け。とりあえず本命をゲットしてホッとする。
　その後、水深140 メートル地点で40〜45センチ級のヤリイカが連発するようになった。仕掛けの着底後に乗りがないときは、10メートル上まで誘い上げてから再び海底まで落とすという釣り方を繰り返すと、海底付近で必ずといっていいほど乗りがあり、念願の50センチオーバーをゲット。
　ふと気づくと、私の座る右舷全員の竿が大きく曲がっていた。まさに入れ乗り状態。サイズも大型中心で、私自身も50センチオーバー2杯を含む4点掛けもあったりして、至福のひとときを過ごすことができた。
　13時。乗りが続く中で沖揚がりのアナウンス。まさに後ろ髪を引かれるような思いで納竿。釣り人の間からは、「あと1時間延長できればなあ……」という声が聞かれたほど終盤の乗りは活発だった。
　当日の竿頭は常連の内田氏で68杯、最高7点掛けもあったとのこと。船中平均は30〜40杯で、初体験の人でも20杯ほど釣り上げていた。
　私は3時間ほどの釣りでヤリ35杯にスルメ7杯。しかもヤリイカの半分以上は50センチ級であったため、十分満足のいく釣果となった。
　片岡船長によると、今後も状況を見ながら石廊崎沖や石花海のヤリイカを狙い続ける予定で、4月ごろまでいい釣果が期待できるのではないかとのこと。
　大型のヤリイカを釣りたい人は、駿河湾の最新情報から目を離さないように！

［舵丸］片岡邦人船長