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本誌APC(東京)◎鈴木良和
掲載号: 2009年10月1日号
タタキのようなコマセ振り
全身ズブ濡れになりながらも健闘した達也くん。次は天気のいい日に行こうな!
竿はしっかり握るのではなく、手首を軟らかく使ったほうがバラシが少ないそうだ
以前から甥(弟の子)の達也くんから沖釣りに連れて行ってもらいたいとせがまれていた。
よくよく話を聞いてみると本誌にドドーンと写真を載せてもらい、釣りをする友だちに自慢をしたいらしい。でもこの達也くん、今年大学生になったとはいえ、沖釣りの経験はゼロ。
となれば波静かな東京湾内の釣り物がベストかな……と、考え、今回のライトアジ釣行を決めた。宿は東京湾奥浅草橋の田中屋。彼の自宅からは車で15分ほどである。
前夜、道具について尋ねようと宿に連絡を入れると、
「ウチは道糸がPE0.6号で統一、コマセカゴは専用のオリジナル品を貸し出します。オモリは潮の速さに合わせて10〜25号を使い分けてください。竿もいわゆるゲームロッドではないほうがいいです。まあ、すべて貸し道具を用意していますので、利用していただいたほうが無難ですよ」とのこと。
私もお言葉に甘え、久しぶりにオールレンタルで楽しむことにした。しかしオモリが10〜25号というのは軽い。超ライトアジと呼ばれるのも納得だ。
弟と達也くん、釣友の吉長くんと私の計4人で田中屋へ向かったのは8月30日。定刻7時半に私たちを含む8名を乗せて出船。釣り場は木更津沖の17メートルダチ。アンカーが打たれて、8時半にスタート。
「この釣りが初めての人は釣り方を教えます。仕掛けを入れないで待っててください」
そう言うと船長は1人1人にレクチャーして回った。
底ダチを取ったら、50センチ巻き上げ、コマセを振ってハンドルをひと巻きしたところで待つ。
ここまでは通常のライトアジとさほど変わりはないが、コマセの振り方が変わっていた。まるでカワハギ釣りのタタキのような細かい振り幅だ。これによって狭い層にコマセが出ていき、ピンポイントにアジを寄せて釣るという。
そのため誘いも入れ過ぎないほうがいいとのこと。またコマセを振って30秒待ってもアタリがなければ、再び底まで落として同じ動作を繰り返す。この時点でコマセがほぼ出切るので、アタリがこなければすぐに巻き上げて再投入する。
こんな動作を不自由なく行うとしたら、たしかにゲームロッドは不向きかもしれない。
船宿で貸し出しているような全長1.2〜1.5メートルの、短めのアオリイカ竿やアナゴ竿が適しているのだろう。
コマセはアミコマセとイワシミンチのミックスを使う。付けエサはアオイソメだが、船宿仕掛けのハリには赤いグミが付けられていた。魚の活性が高まった時間帯はいちいちエサ付けせず、そのまま投入するのだろう。
レクチャーを受けた人から順に仕掛けを投入したのだが、台風の影響か強い北風と豪雨に襲われる最悪の状況。
甥っ子にとってはとんだデビューになったわけだが、開始早々に30センチ近い良型のアジを釣り上げた。
「やりましたー!」と得意満面の笑顔はビギナーならではの輝きに満ちている。
とはいえ食いそのものは渋いようで、時どき弟たちが座る左の胴の間を中心にポツポツ釣れるだけ。
右トモの常連さんが、
「今日はコマセ係だよ」と苦笑いしていたが、潮は右のトモから左の胴へ向かって流れている。
こうして2時間ほど粘ったもののアジの食いは相変わらず芳しくないため、船長はアンカーを上げて移動をした。
その甲斐(かい)あってか食いがよくなってきた。私の弟もすっかり夢中。息子に負けてなるものかと、必死になってアジを取り込んでいた。
Page1 タタキのようなコマセ振り
Page2 コツ…の前触れがたまらない
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