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フィッシングライター/朝倉 真
掲載号: 2010年9月1日号
なんという乗り渋り!
当の乗りは今イチだったが、模様は再び上向いている
仕掛け選びに迷ったときは、船宿仕掛けが一番です
カラッとした夏空の下、沖干しがたなびく光景はスルメイカ船ならでは。
ところが7月下旬、連日の猛暑にイカたちも夏バテしたのか、城ケ島沖の模様も谷間に陥ったようだ。
周年イカ釣りの看板を掲げる三浦半島長井港のはら丸を訪れたのは7月25日。さっそく舵を握る原進船長に近況を尋ねてみた。
「今狙っている城ケ島沖は、二枚潮で潮が速く釣りづらいし、連日の猛暑のためかイカの活性が上がらなくて苦労しているよ」と、豪腕船長にしては珍しい弱気なコメント。
それでもスルメイカ人気は健在。はら丸は土日祝日は5時船と6時船の2便体制で、私が取材をさせていただく6時船には17名が乗り込んだ。
城ケ島沖のポイントまでは航程およそ30分。17名のうち10名がビギナー。聞けば職場の同僚とのこと。中にはイカ釣り経験者でマイタックルを持参する人も見受けられたが、ほとんどの方がレンタルタックル。ほか7名は直結仕掛けを使う船宿常連氏という布陣だった。
ポイント到着後に反応を探すと船長は、
「水深183メートル。100メートルから下をやってみて」とアナウンスする。
ビギナーグループは仲乗りさんと船宿常連のベテラン氏が親切に仕掛け投入〜誘い〜取り込みまでの一連の流れをレクチャーしながらの釣りとなった。
この日は無風&ベタナギという絶好のイカ日和。船長が気にしていた潮もさほど速くはないようだ。
各自の道糸は真っすぐ底へとのびている。イカの乗りがないまま3回目の流し替えで左舷ミヨシとその隣の突き出しのベテラン氏が乗せた。ミヨシの人は胴長25センチ前後のニセイカクラスを1杯。突き出しの人はなんと胴長30センチに迫るマルイカをゲットした。
次の流しでは左胴の間の方が疑心暗鬼にリールを巻き上げる。
海面に上がったブランコ仕掛けをていねいにたぐり寄せると、14センチの赤白のプラヅノに胴長25センチほどのムラサキイカが掛かっていた。
本命スルメの乗りは悪いながらもマルとムラサキを合わせて計3種類のイカが上がった。今日はイカの五目釣りだろうか……などと言っているほど余裕はない。
周囲の船の状況も似たり寄ったりで、船上のロープには2〜3枚のイカが干されているだけ。次第に仕掛けを入れている時間よりも移動の時間のほうが長くなってきた。
10時半に狙ったのは水深160メートル。反応は120メートルから下に出ている。またしても左ミヨシから、「乗ったよ!」という声がかかり、電動リールの巻き上げ音が響いた。聞けば底近くで乗ったという。
グワーン、グワーンと竿先が断続的に引き込まれている。幹糸をたぐりながらイカを数えると4杯。この乗り渋りの中で4杯掛けはすごい。
「とったぞー、4点掛け!」と思わずガッツポーズする左ミヨシ氏であった。
ちなみに氏のツノはピッカピカ針の14センチ。ピンク、ブルー、ケイムラの3色を中心に仕掛けを作っていた。
時計を見るとすでに後半戦に差しかかっていたが、ここで私も逆転ホームランを狙うべく竿を出す。釣り座は右トモ3番。ちなみにトモ1番と2番の2人はイカ釣りのエキスパートだったが、この時点では両者とも型見ずという厳しさだった。
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