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フィッシングライター◎訓覇啓雄
掲載号: 2009年8月15日号
まさかの水温低下…
東伊豆では本命の押さえ的な位置づけのオキメバルだが、型はよく、専門に狙いたくなるほど
研究材料の収集に没頭する上田先生
本誌でもおなじみの上田龍太郎氏が、先月の深場釣りに続き、研究用の魚を確保する目的で船を仕立てるという。
単に研究材料としてならば、電話1本で手に入れることも十分に可能だが、彼の教え子は栄養士の卵たち。将来、食育の現場に身を置くわけだから、海の魚がどのような過程をへて我われの口に入るのか、といったことを知る経験も必要なのだろう。
ただし決まっているのは7月11日という日時と伊豆半島という出船エリアだけ。船宿と釣り物選びは少々難航した。
まず、主役である学生は全員が沖釣り初挑戦。したがって、近場で手軽かつ手堅く釣れるターゲットが最適なのだが、意外に伊豆はこの手の釣りが少ない。
乗合料金が最低でも1万円を超えることが多い伊豆半島では、キンメやワラサ、マダイなど、どうしても魚そのものの価値が高いターゲットが主体になる。確かに小物釣りで高い料金は取れないわけで、それがビギナーにとっては敷居の高さにもなっている。
検討の結果、東伊豆宇佐美港の稔丸(としまる)からカイワリ五目とオキメバルのリレー釣りに決定。いささかマイナーな釣り物ながら、初心者でもなんとか型くらいは見られるに違いない。
また仕立とはいえ半日釣りなので、1人当たりの料金は1万円弱。このコストパフォーマンスの高さも見逃せない。
電車利用のメンバーもいたため午後釣りとし、現地にはのんびりと12時ごろに到着。ところが、午前の釣りを終えて帰ってきた船長にあいさつがてら様子を聞くと、衝撃の事実が判明。
このところ、東伊豆沿岸の水温は23度前後で安定して推移していたが、当日はいきなり5度下がり、なんと18度しかないという。
致命的ともいえる状況だが、今さら引き返すわけにもいかず、開き直って12時半に出船。とりあえずカイワリ狙いで初島周りのポイントへ向かう。釣り場到着後、仲乗りさんにお願いし、釣り方の基本を5人の学生にレクチャーしてもらう。
稔丸では、片テンビンを使ったオモリ80号、ハリス2.5〜3号6メートルの3本バリが標準仕掛け。カイワリ、オキメバル、イサキともに同じ道具と仕掛けで済むから、リレーとはいえいちいちチェンジする必要はない。
ただ、6メートルの3本バリではビギナーには少々扱いにくいだろうと、全長4.5メートルの2本バリにアレンジしたものを使ってもらう。
しかし、いざ釣り開始のタイミングになって、反応が消えてしまったという。午前の部では1キロ級の大型カイワリもハナダイ交じりで上がったというから、水温の低下がさらに進んだのかもしれない。
やむなく水深50メートルのカイワリポイントから、80〜90メートルのオキメバルポイントへ移動。船長の指示どおり、仕掛けが底に着いたら10メートル上げ、コマセを振ってアタリを待つ。
本来ならもっと細かくタナを探ったり、誘いをかけたほうがいいのだろうが、とりあえず、こんな簡単な方法でも、すぐにアタリが出始めた。
上がってくるのは20〜25センチ級のトゴットメバルがメインで、ヒメやアカイサキ、マトウダイなどが交じる。
引率の上田氏は、ひときわ強烈な引きでキロオーバーのキツネダイをキャッチ。
写真だけ撮ってリリースしたが、あとで気になって調べてみたところ、なかなかの美味であることが判明。狙って釣れる魚でもないので、実に惜しいことをした。
Page1 まさかの水温低下…
Page2 沖揚がり前のラッシュ
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