待たされたかいあって、糸フケを巻き取り、竿先にテンションが加わると同時に、キンメならではのガクガクと小気味いいアタリが伝わる。
　ほぼ全員の仕掛けにヒットしたようで、船長の合図で巻き上げると15本バリにキンメが7枚。これぞ深場釣りのだいご味。サイズは手のひら大から1.5キロ級までの交じりで、アベレージは0.8〜1キロ級。
　船長によれば、周辺に点在するポイントの中でも、中型主体に数まとまる場所とのこと。素人集団にはもってこいのポイントだ。もちろん、大型狙いや他魚種との2本立てなど、各種リクエストに応えてくれるから気軽に相談してみるといい。
　幸先のいいスタートを切ったものの、その後は今ひとつ調子が上がらない。
　反応そのものはびっちり、しかも海底から40メートルほど上まで盛り上がって出ているという。潮も動いているし、どうして口を使わないのか理解に苦しむ。
　それでも、諦めることなく粘り強く流しを重ね、ポツポツながらも釣果を追加することができ、最終的にはトップで18枚、平均でも12枚前後のキンメを確保することに成功。外道には2キロ級のメダイが船中4尾に、脂の乗った大型のゴマサバが多数交じった。
　このところ、トップの釣果はコンスタントに50枚を超えていたというから、悪い日に当たったというしかない。
　それでも、梅雨時期特有のナギ日和に恵まれ、学生たちも最後までリタイヤすることなく採集活動に専念。釣果はその日のうちに大学に運ばれ、細菌の培養や成分分析、新しい料理の開発など、様ざまな研究に役立てられたという。
　なお、当日攻めたポイントは、協定によって8月が禁漁となる。夏キンメを手にしたければ、ぜひとも早めの釣行を計画してほしい。

［市太郎丸］中道弘一船長