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[夜スルメイカ]
茨城県那珂湊港発…那珂湊沖 大内丸

今年も始まった 常磐の夜スルメ!

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本誌APC(東京)◎鈴木良和
掲載号: 2009年6月15日号

まずはヤリイカ

 


ダブルを決めた木村くん。このほか良型のヤリもゲット。うらやましい
「自分で扱えるだけの本数」というのがミソ。欲をかくととんでもないことになります


 私の知り合いに築地市場の仲買人がいるのだが、彼によると今年はスルメイカがまったく入荷せず、値段が高くて手が出せないらしい。たしかにヤリイカやアカイカ(マルイカ)はスポーツ新聞の釣果欄を賑わしてはいるが、ムギやスルメが釣れているという話はとんと聞かない。
 そんな折、編集部から茨城の夜スルメに挑戦してくださいとの依頼があった。
 
 お世話になったのは茨城県那珂湊港の大内丸。
 私が釣行した5月16日はなんと今期初出船。もちろん事前の情報などはないが、とりあえず船長に予想を尋ねると、
 「日中のヤリイカ釣りでムギイカが結構交じるので、なんとかなるでしょう」という返事が返ってきた。今回のメンバーは釣友の佐野さんと木村くん。やがて定刻の17時になり、私たちを含む計9名で出船となった。航程30分ほどでポイントの磯崎沖に到着。
 船長は魚探の反応を見ながら操船をしている。水深は40メートル前後。まもなく底付近にイカらしき魚影を発見したようだ。
 「やってみてください」という合図でスタート。まだ周囲も明るいため、パラシュートアンカーを入れずに流し釣りとなった。
 1時間ほど早く出船した他船では、すでに30杯も釣っている人もいるらしい。もっともイカはイカでもヤリイカ。スルメの前哨戦としてはちょうどいい相手だろう。
 ちなみに他船のトップが使っていたのは11センチのプラヅノのブランコ仕掛け。全員が直結仕掛けの当船ではバラシが多く、なかなか思いどおりに数がのびない。
 そんな展開に業を煮やした左トモの冨沢さんは布巻きのスッテでブランコ仕掛けを作り、見事にヤリイカを一荷で釣り上げる。さらに右ミヨシの石井さんもヤリイカを取り込んだ。
 しかし、その後は乗りが遠のく。それらしき反応もすっかり消えた。
 ヤリイカの乗りが遠のいたところで船長はパラシュートアンカーを入れて、集魚灯を灯す。さあ、これからが夜イカ釣りの本番である。
 時計を見れば19時。船下にスルメが集まってくるまでは少なくとも30分ぐらいは必要だろう。皆さんもそのへんの事情はご存じのようで、船上はのんびりした雰囲気に包まれている。
 「今日は潮が動かないし、水温も急激に低下してしまったね。小魚の集まりが悪いなあ」
 魚探の画面をのぞき込んでいた船長がポツリとつぶやいた。これは手強いと思ったが、左胴の間の釣り人がいきなり4杯掛けを披露。
 大きさはどれも胴長20センチほど。このサイズなら身も柔らかく、おいしく食べられる大きさである。しかし多点掛けはここまで。どうもイカの群れが小さいらしい。
 それでもあっちで1杯、こっちで2杯というように少しずつ釣れるようになってきた。イカがポツポツ上がる船上を眺めていたところ、右トモにいる2人の竿さばきがどうもぎこちなく、気になった。
 そばへ行ってみると2人ともイカ釣りは初挑戦。そのうち1人は沖釣り自体が初めてとのこと。2人が手にしていたのは長いヒラメ竿と市販の直結仕掛けの組み合わせだったので、布巻きスッテのブランコ仕掛けに替えることを提案し、釣り方もレクチャーする。ちょうどそのとき、底付近に反応が出ていたので、
 「底から10メートル上ぐらいまで探ってください」とアドバイスをすると、まもなくイカが乗った。ヒラメ竿を大きく曲げながら取り込んだのは本命スルメイカ。これで要領をつかんだようで、彼らはその後立て続けにスルメイカをゲット。よかった、教えたかいがありました。


 

 


 

 

Page1 まずはヤリイカ
Page2 ブ ラ ン コ か 、 直 結 か ?



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