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本誌APC(東京)◎鈴木良和
掲載号: 2009年2月15日号
たかが15メートルだが…
10年ほど前から毎年一度はショウサイフグを釣りに行く私だが、湾フグは昨年デビューしたばかり。
実は村上記者と一緒の取材だったのだが、彼が言うには「湾フグほど面白い釣りはないくらい」とのことだった。
同じフグだし、号数は違えど同じカットウで釣るわけだから、外房や茨城のショウサイフグと何が違うのだろうか?
当時はそう考えた私だったが、実際に釣りをしてみて、その意味が多少なりとも理解できた。
外房ではタイム釣りはもちろん、アタリを取ろうと思えば比較的分かりやすく、即合わせで掛かることも多かった。
それに対して、湾フグの場合はタイム釣りは通用せず、アタリもより繊細で、食わせバリに食い付いたときにはコツッとしたシグナルが出ることもあるが、カットウのエサをついばんでいるときなどはモサッと穂先を押さえ込む程度の変化しか見せてくれないこともある。
まったく気が付かない間にエサを食われてしまうこともザラで、それだけにアタリをキャッチして掛けたときの喜びはひとしおだった。
もちろん微妙な変化を察知するためには湾フグ専用竿が好ましいのだが、キス竿で穂先のしなやかなタイプも流用できるそうだ。
要するに湾フグは私が想像するよりデリケートで繊細なフグ釣りだったのだ。
1月11日、鶴見弁天町の富士丸に湾フグを求めて出かけた。今回同行してくれたのは女性アングラーの高橋恵子さんで、ジャンルを問わずに釣りを楽しんでいるママさん釣り師だ。
待合室で出船までの時間をつぶしていると次つぎにお客さんが集まってくる。
そして7時30分過ぎに18名を乗せて出船。北海道沖に発達した低気圧の影響で前日は大風が吹き、今日も決してよい状況とも思えないが、この盛況ぶりは湾フグ人気の高さの現れだろう。
湾フグは周年狙えるのだが、この時期のお目当ては、凍てついた体を芯から温めてくれるフグ鍋の具の確保にあるようだ。プリプリとしたショウサイフグの食感は食味だけではなく、家族みんなで鍋をつつけば心まで癒してくれそうな気もする。
8時20分にポイントの大貫沖に到着。すでに10数隻の船が船団を形成していた。
前日のトップが30尾。1月上旬から好調をキープしているだけに今日も期待は持っているのだが、いかんせん前日の強風の影響が気にかかる……。
「はい。やってください」と8時30分に船長の合図で竿入れとなった。
ポイントの水深は15メートルほど。しかし、たかだが15メートルとあなどってはいけない。オモリは10号と軽いため、水深が深いと潮の流れや太い道糸だと糸がフケて釣りづらいのだ。
とくに今日は大潮にあたり、開始早々は全員の道糸がトモ方向へ極端に斜めに差し込んで、オマツリも見受けられた。
Page1 たかが15メートルだが…
Page2 後半の潮変わりに期待
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