「仕事はそこそこにして、あんたも早くやりなさいよ」と、船長の優しい声がかかったところで私も参戦。まずは5本ヅノ仕掛けを投入器にセット。左舷ミヨシから斜め前方に向けてオモリを投入する。久びさのイカ釣りだけに一抹の不安はあったけれど、投入は無事に成功。
　オモリの着底を確認し、ゆっくりと竿先を起こすやいなや穂先がグイッと曲がった。
　「もう乗ったの？」と一瞬わが目を疑ったが、そのまま数回グリグリと巻くとグイグイとイカの抵抗があり、乗りを確認。巻き上げのスイッチを入れてガンガン巻き上げた。これまた久びさの取り込みでにアタフタしてしまったが、無事1杯目をキャッチ。すぐに再投入すると、またしてもオモリ着底直後に乗った。
　ムフ、今日はツイているかもしれない。
　中盤からは2〜3杯掛けで取り込む光景が目立ち、胴長50センチ級の特大ヤリイカもポツポツと取り込まれた。ちょうど今号発売から2月にかけてはこのクラスがズラズラ乗るというから楽しみだ。「底のほうに反応があるから、ベタ底を狙って〜！
　同じタナばかりで誘ってもダメ」と、片岡船長からアドバイス。
　ここまで単発ながらもほぼ入れ乗り状態だった私。底から5メートル上までシャクリを入れても乗りがなかったため、再度落とし込もうとクラッチを切った。すると落ちていくはずの仕掛けが落ちていかない。そう、落とし込みで乗ったのである。
　糸フケを取って竿を持ち上げるとズシリ。これまでにない重量感を楽しんで3杯掛けを達成した。
　続いての投入ではシャクリ上げた竿がズンと止められるような乗りがあり、パラソル級含みの3点掛け。
　イカはピュッと潮を吐いて、私は熱い鼻息をフンガと吐く。ガハハ、たまらん。それでも、「今日は渋いよ」と船長はポツリ。前週は多点掛けの連発でトップが70杯を超えた日もあったというから、もどかしかったようだ。
　そして最後の流しで胴長40センチ級のデカヤリを2連発し、13時に終了の合図。透き通ったごちそうをクーラーに収めて大満足で竿を仕舞う。
　船中釣果は30〜55センチが13〜41杯。私は17杯。平均釣果は20杯前後といったところ。ほか各自スルメイカが数杯交じった。
　当地のジャンボパラソルヤリイカの最盛期はこれから2月にかけて。まさに今号発売のころにピークを迎えているはずだ。

［舵丸］戸田佳英船長