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本誌APC(東京)/ 椎名義徳
掲載号: 2011年2月1日号
キンメはまさかの空振り
深場の神さまこと浜田氏。あやかりたいものです
海面にボコッと浮かび上がるときの快感は何物にも代え難い
朝の冷え込みが日に日に厳しくなってきた12月下旬。寒さとは裏腹に熱いシーズンを迎えるのがキンメやアコウといった深場の根魚釣り。
久しぶりにコマンド10を引っ張り出して、東伊豆富戸港の庄吉丸を訪れたのは12月19日だった。
ミヨシから私、深場釣り初挑戦の上林氏、深場釣りの神さま(?)こと浜田氏の順で並び、準備が整った午前5時に出船となった。
航程50分ほどで伊豆大島の釣り場に到着。
治具(じぐ)に巻いた15本バリ仕掛けを道糸に接続し、投入の準備は完了。まずは200〜300メートルダチという浅めのポイントでキンメ狙いとなる。
しかし開始時刻の6時を過ぎても船は旋回を繰り返すばかり。他船も同様で投入する様子がない。「まだ群れの反応が出ないですね。それに潮もすごく速い」そう船長がつぶやいた。
やむを得ず、ヤマ勘で流し始める。ミヨシの私から投入の合図が出された。
深場釣り初挑戦の上林氏は初めて使う治具におっかなびっくりの投入だったが、トラブルなく完了。
オモリの着底は明確に分かったが、やはり潮は速くて380メートルで着底した後もどんどん底は浅くなり、あっと言う間に200メートルまで上がってしまった。
結局2回流してみたもののアタリはなく、ポイント移動となった。
次にやってきたのは500〜550メートルダチ。良型のキンメがアコウ交じりで釣れる場所という。
とくにこれから伊豆大島で椿が咲く季節にはアコウも大挙して乗っ込んでくるので、海上もまるで椿の花が咲き乱れるような、アコウの大釣りが期待できる場所でもある。
やはり潮は2ノット近い速さだが、思いのほか底ダチは明確に取れた。
トントンとオモリで底をたたくように探っていくと、ククッとわずかに竿先が震えたような気がした。
半信半疑だったが、道糸がフケるくらい送り込んで様子を見る。そして道糸が張ってきたところでググッと明確に竿先がたたかれた。
これは間違いなくアタリだ。仕掛けがその位置から外れないように船の流れにしたがって道糸を送り出していく。
水深が700メートルに達したところでミヨシの私から巻き上げの指示。巻き上げを開始するとオモリが根掛かりしているようで竿がギューンと入る。そのまま電動で巻き上げ続けているとモーターやギアを傷めてしまうので、ここでいったんリールの巻き上げをストップし、ドラグを締め込んで船の流れで捨て糸を切る。
大きくしなっていた竿がフッと戻ったところで巻き上げスイッチをオン。
巻き上げ最中にも時折ググッと抵抗が伝わり、魚が掛かっていることは確実なようだ。
キンメか、はたまたアコウか。海面に近づくにつれて船下に入っていた道糸が正面沖に流れ出す。「コレはもしや!?」
澄んだ海中からボヤーッと赤い魚影が浮かび上がり、ポンポンッと2尾のアコウが前方の海面に浮上した。
今シーズンの初アコウは1.5〜2キロのグッドサイズだ。
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