ここで船長は、「今日の当たりパターンはとにかくハイスピードでジグを引くことに尽きます！」と、我われに檄を飛ばすが、シャカリキになってハンドルを回すも、とてもヤングたちのスピードには追いつけない。
　この結果、私の中指にできた血マメが破裂し、激痛が走ってリールのハンドルをつかむことさえままらなない。
　仕方なく私は腰をエーイッとばかりに回転させ、下半身でロッド操作をしようとしたところ、今度はようやく治ったはずのヘルニアが再発、腰に激痛が走った。
　もはや踏んだり蹴ったり状況で青色吐息。そんな折、ミヨシの釣友はやっと初ヒットに恵まれ、無事2キロ級のマダイをゲットするに至った。
　大ドモのヤングたちの大型クーラーはすでにワラサで満杯となっているのに対し、オジンガーにとってこのマダイが辛うじて一矢報いた1枚となってしまった。
　天を仰げば雲の合間から秋の太陽が顔を出し、汗もドッと吹き出した。
　その後、我われはジグのアクションも種類もヤングアングラーをまねてみたものの、事態は一向に改善せず、だんだんオジンガーたちは悲壮な面持ちとなってしまった。
　13時、今まで辛うじて動いていた潮も完全に止まってしまい、あれほど釣れ盛っていた大ドモでさえパッタリと魚信が途絶えた。もはやこれまでとオジンガーは敗北宣言し、沖揚がりとなった。
　私は竿とリールの故障に加え、血マメの破裂やヘルニアの再発など散々な目に遭い、釣果ともども悲惨であったが、船中竿頭の左大ドモ氏は4〜5キロのワラサ7本のほかイナダ、サワラ、シイラなど多数。大型クーラー2杯を満たす爆釣であった。
　これから初冬の盛期にもなれば、ヒラマサや寒ブリも釣れ盛るので、今後も見逃せないだろう。

［八海丸］秋元　誠船長