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本誌編集部/尾川泰将
掲載号: 2012年2月1日号
終わってみれば 12 名にお年玉
ところが、そのお父さんがアマダイポイントの指標になるアカボラ(ヒメコダイ)を釣り上げたところから、魚の食いが上向き始めた。
小ぶりなオニカサゴが船内で4〜5尾立て続けに釣れ、25センチ前後の小ぶりなアマダイがポチッ、ポチッと、あちこちで掛かり出す。
船長に聞くと、
「潮はゆ〜っくりと西(南西)へ流れてる」とのこと。舳先は東北東に向いているからひょっとして……と、潮先に当たる右舷大ドモの様子をうかがうと、
「ええ、釣れましたよ。今と、この前の流しで」
ひょうひょうと語る斉藤さんのクーラーを覗くと、なんとまぁ40センチ前後のアマダイが2尾収まっている。声も上げずにいたものだから船長も目を丸くして、
「その一番大きいの、どこで釣れたの!?」と問いかける。
急いで戻った場所は、大磯プリンスホテルの真沖。ここで右舷胴の間から拍手喝采、駆けつけると35センチのアマダイをむんずとつかむ葵君がいた。
つい先ほど、お父さんと私、そして周りのベテラン諸氏数名が25〜30センチ級を1尾ずつ釣り上げてホッと一息ついたところなのに、むくりと起き上がってこの一撃。
さらに数回後の流しで同サイズをもう1尾手にしてしまい、大人たちは形なし。ちなみに全長2メートルの仕掛け、そしてタナ取りはお父さんと同じ。底から1メートルほどオモリを上げて置き竿にし、たまに誘いをかける釣り方だった。
葵といえば徳川家だが、戦法は風林火山の武田信玄流。ダメなときは動かず、機を逃さずに釣る……とは褒めすぎ?
空はにわかにかき曇り、雨が落ちてきた。天候のほうも戦国時代の映画さながらに晴れては曇り、時どき雨と落ち着かない。それでも1人、また1人とオデコを脱し、3名を残してほぼ均等にアマダイがいきわたった。
お昼を回って最後に船長が勝負をかけたのは、西湘バイパスを走る車が間近に見えるマル秘ポイント。これだけ岸近くても水深が80メートルあるのだから、大磯近辺の海底地形はつくづく興味深い。
「ここは40〜50センチの大型が出る穴場なんだけど、本当は潮が反対向きのほうがいいんだよね」と船長は言う。流すエリアは西向きの斜面で、そのカケ上がりに向かって潮が当たるほうが食いはいいそうだ。
言葉どおり待望のビッグサイズこそ出なかったけれど、沖揚がりの14時過ぎまでにポツポツと浮上した数尾のアマダイは30〜35センチの中型ぞろい。アタリは沖合のほうが多かったものの、レギュラーサイズはこの穴場ポイントのほうが上。いい潮に恵まれたときの爆発力に期待したいところだ。
結果は18〜41センチのアマダイを0〜5尾。15人中12名が本命を手にしたから、まずまずの初陣だろう。私は1尾で小吉といったところ。
何より励まされたのは永浜さん親子の楽しそうな笑顔。昨年の震災で海からちょっぴり遠ざかってしまった子供たちが、海岸や船上で大はしゃぎする一年を願うばかりだ。
[沖右衛門丸]木村 繁船長
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