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フィッシングライター/ 山口 充
掲載号: 2012年1月15日号
思ったほど悪くないぞ!
ようやく乗りが上向いてきました
寒さが厳しくなるにつれて少しずつ乗りが上向いてきた東京湾口のヤリイカ。独特な釣趣と美味を味わおうと、12月11日に三浦半島小網代港のやまはち丸へ向かった。
宿に到着し、出口訓さとる船長にあいさつをしたが、どうも表情が冴えない。
「とても言いにくいのですが、昨日はすごく渋かったんですよ。水温が上がってしまうし潮も澄んでしまうし。しばらくいい乗りを見せていたのに、どうしちゃったんだろうなあ」と頭を抱えていた。
でも私がやまはち丸に来るといつも模様が上向く。昨年ヤリイカ取材に訪れたときも、前日までさっぱりだったのにまずまずの乗りを楽しんだことを思い出す。
だから今日もきっとよく乗るはずと自分に言い聞かせ、石井さんと2人で左胴の間に釣り座を構えた。
いかに乗りが渋いとはいえ、晴天の日曜日だからそれなりにお客さんも集まるもの。私たちを含む15人を乗せ、7時半にやまはち丸は小網代港を離れた。
雪化粧した富士山を眺めながらゆっくりと走ること30分で、釣り場の城ケ島沖に到着した。船長はすぐに反応を探し当て、
「お待たせしました! 水深は170メートル前後です。底から10メートル上まで探ってください!」と合図を出した。
120号のオモリを投げると船ベリに置かれた投入器から勢いよくプラヅノが飛び出していき、澄み潮の中へ吸い込まれていく。
事前情報によるとサバも多いとのことだったが、1投目は幸いにしてサバに捕まることはなく、仕掛けを海底まで沈めることができた。
私の仕掛けにはすぐにヤリイカらしき乗りが訪れたのでまずまずの出足だなと思ったのだが、甘かった。
底から数10メートル巻き上げたところで、竿先に不吉なバイブレーションが伝わってきた。そう、サバに捕まってしまったのだ。
イカが外れませんように……と祈りながら慎重に巻き上げたが、仕掛けに掛かっていたのはサバだけ。残念。
しかし左ミヨシで竿を出していた浅野さんは小型ながらヤリイカを取り込んだ。
潮回りして再び投入すると、今度は右舷でもヤリイカが乗り始めた。しかしサイズが小さいゆえに乗りも微妙。巻き上げ中にバレてしまうことも多いようだ。
そんな状況にもうまく対応しているのが経験豊富な常連さんたちで、小型のヤリイカを次つぎと追加。私たちのお隣にいた吉田さんは船中初めてのダブルを決めた。
これはチャンスだ、私もイカを釣らなきゃ!
少し焦りが出てきたころに、隣の石井さんも少し大きめのヤリイカをキャッチした。
「底から少し上で乗ったよ。何杯か乗ったと思うんだけど、上がってきたのは1杯だけ。たぶん巻き上げ中に外れちゃったんだろうね!」
話の内容は悔しそうだったが、表情はどことなくうれしそう。
Page1 思ったほど悪くないぞ!
Page2 後半は多点掛けが連発!
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