「おーい！ 村上さんのハリスは何メートルだ？」
　「へ、15メートルですが……」
　「そいじゃあ20メートルに伸ばしてみな！」
　船長のアドバイスにしたがい、ハリスを20メートルに変更してみる。
　それまで使っていたハリスは全長15メートルの2段式で、4号12メートルの先にマイナス3Ｂのウエイトスイベルを介して4号を3メートル結ぶ構造。そこでウエイトスイベルから先の4号3メートルを外し、4号8メートルに結び替えて全長20メートルとした。
　ハリスを修正したついでに釣り方も見直してみる。
　これまでの私は積極的に竿を振ってブンブンとコマセを出す、どちらかというとワラサに近い釣り方。
　でも乗っ込みマダイは必ずしもコマセをドバまきする必要はなく、船の上下動で長時間ポロポロ出続ける状態にすることが大事と船長は言う。
　教わったとおりの釣りを実践するとすぐに結果が出た。竿は海面にズッポリと突き刺さる。
　ところが余裕をかましてＶサインをしたのが悪かったのか、海面まで残り数メートル下でバラしてしまった。
　このときはさすがに落ち込んだが、釣り方さえ合っていればアタリはちゃんと訪れるようで、1時間もしないうちに隣の馬場さんの竿と同じタイミングで愛竿が曲がった。
　さっきは手巻きでバラしたので、今度はドラグを効かせつつ電動で巻き上げた。5分ほどのファイトの末に上がったのは婚姻色も鮮やかな2.5キロ。同時に掛けた馬場さんは一回り大きな3キロ級を手にしていた。
　私が念願の1枚を手にしたときは、ちょうど沖揚がり前のチャンスだったようで、船中あちこちでマダイが釣れ上がった。それもほとんどが良型。馬場さんが手にした4.6キロを筆頭に、2〜3キロばかりが連発していた。
　船中全員がマダイの引きを堪能したところで12時半に納竿。釣果は1〜4.6キロのマダイが1〜4枚。このほかワラサ、イサキなど。数はそれほどのびなかったものの、型のよさに圧倒された一日だった。これから5月一杯まで、場合によっては6月頭くらいまでは乗っ込みの好期が続く。精悍なマダイを手にするチャンスはこれから。皆さんもいい思いをしてください！

［興英丸］興津勝義船長とおかみさんの志茂子さん