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本誌編集部/村上敬洋
掲載号: 2011年5月15日号
乗っ込みに乗り遅れた !?
釣れるのは良型ばかり。今まさに最盛期を迎えています
掛かったあとの巻き上げは電動で行うと糸が緩みにくくバラシを防げるとか
駿河湾御前崎沖で乗っ込みマダイ狙いが始まったのは3月下旬。以来、船中オデコなしの日あり、大型が交じることもありという快進撃。4月に入ると乗っ込みも本格化したようで、各船宿のホームページには婚姻色をまとったマダイの写真が次つぎとアップされ始めた。
ついにやってきた春のビッグチャンス。コマセダイファンの1人として、この好期を逃す手はないだろう。
4月14日に訪れたのは用宗港の興英丸。釣友の馬場雅樹さんと早朝3時に港に到着すると、船の前にはいくつかのクーラーが置かれており、人気の高さがうかがえた。
興津勝義船長がやってきたのは3時半。予約を入れていた釣り人8名がそろったところで席を決める抽選を行い、私と馬場さんは右ミヨシに並ぶことになった。
全員の荷物を積み終えた4時前に興英丸はそろりそろりと離岸し、御前崎沖へと速度を上げていく。
マダイが好む根がいくつもある御前崎沖だが、乗っ込みで狙うのはオモリの70メートルダチ前後。
2時間半ほど走ったところで船はスローダウン。空は快晴。海はナギ。願ってもない釣り日和である。
各自が席に着き、釣りの準備を整えていると他港のマダイ船も次つぎに集まってきた。その数は本船も含め15隻。これだけ集まると壮観ですねと船長に声をかけたが、
「いやいや、少なくなったもんだよ。昔は平日でも100隻浮いていたこともあったんだけどなあ……」とつぶやくのだった。
投入開始の合図が出たのは6時50分。指示ダナは海面下48メートル。船長はマイクを使わず、釣り人のもとへ歩み寄り、ひそひそと耳打ちをするようにタナを告げた。
この直後、釣友の馬場さんの竿がいきなりギュンと曲がって1キロ強が取り込まれた。彼に続いて左舷に座る数名が竿を曲げ、良型が立て続けに取り込まれた。さらにアタリは右トモへと伝播していき、開始から30分足らずで船中大半の釣り人がマダイを手にしてしまった。
これはすごい。予想をはるかに上回る高活性である。
かくいう私は撮影で大忙し。釣り人たちが笑顔で掲げるマダイに向けてシャッターを切っていたが、しつこく撮影しすぎたようで、
「今は朝のチャンスだぞ〜。いつまでも写真ばっかり撮ってんじゃな〜い!」と船長の指導が入った。
す、すいませ〜ん。急いで自席に戻って釣りに専念するも気持ちばかりが焦ってしまい、マダイのアタリからはすっかり見放されている。エサを付け替えようと仕掛けを上げたり、手前マツリをほどいたりしているときは周りの人にバタバタとアタるのだが、私が仕掛けを入れるとパタリと食いが止まる。
理由はさっぱり分からないが、釣れないスパイラルに陥っているらしい。
なんとかしてマダイを釣ろうとあがいているうちに朝の時合は終了。本船ばかりか他船も竿は曲がらなくなってしまった。
現時点での釣果を確認しようと皆さんのオケを見て回ると……朝の1流しで私を除く全員がマダイをゲットしているではないか!
ガビーン。こんなことになるとは夢にも思わなかった。明るい初夏の日差しとは裏腹に、私の心の中には暗雲がたれ込めてきた。
Page1 乗っ込みに乗り遅れた !?
Page2 マダイだけに、マダイける!
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