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本誌編集部◎尾川泰将
掲載号: 2011年4月15日号
アカムツも出た!
船長は水深を少しずつ変えながら、85〜150メートルの海域を探っていく。
ムシガレイ、ドンコ(チゴダラ)、ノドグロ(ユメカサゴ)、アカボラ(ヒメコダイ)、ゴマサバ。この釣りでおなじみの魚たちと対面しつつ、根気よくオニカサゴが食い付く瞬間を待つ。
ゴゴ。ゴゴゴッ。1メートルほどのストロークで小づいている最中、岩が動くような感じのアタリがきた。
大きくはなさそうだが巻き上げ中も断続的に引き込む独特のこの感触は、たぶん本命。海面下に浮き上がった朱色の魚体は30センチ弱のオニだった。
食い付いていたのは下バリのサーモンエサ。持参したエサで、しかも小づいて食わせたとなれば自己満足の極み。
「よーし、もう一丁釣っちゃうよ!」とばかりに、へたれ気味だった小づきのリズムも軽やかになる。
狙いはさらなる大型。そしてドカ〜ンときたのは、隣人の金井さんだった。見るからに竿の曲がりは特上クラス、慎重に巻き上げてくると巨大な頭が見えてきた。
船長にタモ取りされたオニカサゴは、当日最大の40センチ。私のそれとは親子ほども違う。船宿支給のサバで、基本どおりに誘って釣れたそうである。この時点で小づき釣りのうんちくを語るのはやめた……。
「でっかいオニカサゴってカッコいいですね〜」
オニ狙いは初挑戦という右舷ミヨシの斉藤さんが、目を丸くしている。
しばらくしてその斉藤さんにも人生初の1尾がヒット。本日最小の25センチながら、色んな角度からオニカサゴを眺めて、心底うれしそうだ。
その後は全般にアタリが遠のき、船長はさらに沖合へ移動。そのポイントは、なんと水深200〜240メートルの深場のカケ上がりだった。根魚ファンなら、ピクリと反応してしまう水深と地形である。
これがドンピシャ。左舷トモの安田さんが手にしたのは、37センチのアカムツだ。
「1尾でも出ればと思って勝負したんだけどね。魚探とGPSがないほうが釣れるのかな?」
船長のこのコメントで、さらに笑顔の輪が広がる。
なごやかなムードを保ったまま納竿を迎え、オニカサゴは船中0〜2尾。トップは35センチ級を2尾手にした西本さん。エサはサバ、仕掛けは何の飾りもないシンプルなものだった。
「運ですよ運。だって着底と同時に食い付いたんですから」
うーん取材泣かせ。西本さんの話に拍子抜けしてしまった。
ともあれ、こうして海へ出てみると気持ちが軽くなったし、
「とにかく元気にいこうよ!」と言ってくれた、新生.まなぶ丸の三ケ部船長からもパワーをいただいた。3.11に止まってしまった体内時計が、少しずつ動き出した気がする。
[まなぶ丸]三ケ部 学船長
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