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本誌APC(東京)◎椎名義徳
掲載号: 2009年9月15日号
止まってくれ!
足元はカツオの山
時間はまだ8時前だ。このまま早揚がりしても十分な釣果だが、そこは初日、もう少しサイズアップを狙いたい。
ナブラはあちこちに見え、情報を聞きつけた僚船も次つぎと集結。その後は短時間決戦ながらも3キロオーバーの良型を交じえて、船中は大盛況だ。
そこへ例の、キメジらしき跳ねが見えた。すかさずマイワシを付けて放り込むと、勢いよく海中に潜り込む。
15メートルも送ったところで、道糸が突如走り出した。
「食った!」
ドキドキ感を抑えてドラグを締め込んでいくと、飛沫を上げる勢いで道糸が走り出す。あっという間に50メートル引き出され、巻き上げにかかる。
ものすごい重量感だ。こりゃキハダに間違いない。
そして再び走り出す。止まれ、止まってくれ!
あぁ止まらないよーっ!
120メートルほどでようやく停止。再び巻き上げ体勢に入ったが、なんと掛かりが甘かったのか無念のハリ外れ……。
またしてもやられて(やって?)しまった……。これで昨シーズンから3打数0安打。んー、悔しいー。
イケスにはもうマイワシは見当たらず、大きめのシコイワシを掛けて再投入。沖目深く潜ってくれれば、アタリはお約束のようなものだ。
スルスル出ていた道糸が走り出す。これもなかなかのパワーでラインを引き出していく。いや〜楽しい楽しい。
一進一退の攻防も、今回の勝敗は私の手中に。タモに収まったのは4キロ弱の、丸まる太ったカツオだった。
ナブラが湾奥まで入ってくれば本格スタートの証し。当日僚船では5〜6キロ級のキメジも上がっており、ルアー船では20キロ級のキハダのバラシもあったそうだ。
この号が発売されるころにはコマセ釣りの乗合船も多数参戦し、秋の相模湾はパワーバトルで大いに盛り上がることだろう。
[一俊丸]三橋一俊船長
Page1 紫色に輝る魚影
Page2止まってくれ!
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