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本誌編集長◉沖藤 武彦
掲載号: 2012年12月1日号
ピンポイントで 数をのばす
小田原早川港の泰平丸は8人限定の予約乗合で、乗船前の6時半にクジ引きで座席を決める。
ほとんど宣伝していない船宿ながら、夏以外は模様に関係なくアオリイカを狙っているだけに確実にファンが付いており、予約は引きを切らない。
とくに今年のように全体的に模様がいいと、船長の携帯はひっきりなしに鳴る。
10月29日は月曜日だが、泰平丸は定員いっぱい。クジ引きで決まった席に着いて思い思いの餌木を出し、船はゆっくりと伊豆半島の方角へと進んでいく。
その中に、ティップランエギングの開発者.大西正人さんがいる。次頁の勝山での試釣も含めて関東方面へ遠征していただいたのだが、ここ泰平丸では餌木シャクリの乗合船にてティップランのタックルで釣っていただく。
7時過ぎに釣り開始。水深は35メートル。船長が告げる水深を参考に、乗船者は思い思いにタナを取る。
推奨ハリスは5または4号4メートルで中オモリは10号。中オモリを着底させてタナを取る人もいれば、海面から道糸で合わせる人もいる。いずれにせよ餌木は海底から2メートルほど上を泳がせるイメージだ。
開始早々好調に乗せたのは大西さんの隣、左トモの森田さんだった。餌木は絶対的な信頼を寄せているというマーブルバイオレット。
今年の模様からすれば、このまま乗り続けるのかと思ったが、意外にこの日は乗りが遠い……と、思うころに2連発で乗せたのがティップランの大西さんだった。
「エンジン流しの船でも、そこそこ釣れることをお見せできれば」と言っていただけにホッと一安心。
その後も移動を繰り返すたび、皆さんアオリを乗せていく。
この時間帯、好調に乗せたのは前寄りの4人だった。
右ミヨシの樺島さんは短竿でブロンズゴールドを中心に使い、その隣の白石さんは長竿で様ざまな餌木を使う。左舷ミヨシでは山本さん、胴の間では小林さんが短竿でアオリイカを掛けてその引きを楽しんでいる。
船長は様子を見てはポイントを変えていく。江之浦方面では流すというより、ピンポイントで狙い撃ちをしている印象だ。
「うーん……15分くらい移動します」
今期の模様からすれば納得がいかないのだろう。船長は渋い顔で大移動を告げる。向かうは国府津(こうづだ)沖。
国府津沖ではこの時期定番といわれる水深30メートルのポイントから探るものの、1時間ほども竿が曲がらない。
意外にも好調に乗ったのは水深16メートルの場所。初夏に大型を狙うような所で、大西さん、森田さんが乗せた。
ここからはトモ寄り有利の展開となる。
右舷トモ寄りの飯干さんと日留川さん、森田さんが代わる代わる乗せていくのだが、どれも型が大きい。この展開は酒匂川河口36メートルダチに移っても、早川前に戻っても変わらず、バイオレットで乗せ続けた森田さんが7杯でトップだった。
終始ティップランで釣り続けた大西さんは3杯。後半は沖からウネリが入り餌木を安定させることに腐心していたが、左舷の釣果は前から2、3、3(大西)、7(竿頭)だから、及第点といえるのではないか。
「大西さんさあ、竿先をゆっくり下げるのがコツなのかな」
船長も気になる様子。エンジン流しでのティップランは、いわば「バーチカルティップラン」なのだろう。興味のある方、ぜひチャレンジしてほしい。
[泰平丸]鈴木 繼寛 船長
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