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本誌編集部/時田眞吉
掲載号: 2011年7月1日号
カニが潰されて……
当日の最大となった53センチのクロダイ
東京湾では、6月ごろより堤防の際にエサを落とし込んで狙うヘチ釣りが本格化し、短竿にタイコリールを装着した独特のスタイルで楽しむ釣り人の姿が見受けられる。
そんなヘチ釣りフリークの憩いの場が、横浜にある「シーウルフ」という釣具店。生きエサが豊富に取りそろえられているのと、地元の釣果情報が交換できるからだ。
しかし、東京湾奥の陸っぱり釣り場は、ほとんどが自由に出入りすることはできなくなってしまった。
そこでシーウルフの内田信吾店長が考えたのが、海側から釣れないかということ。これが小型ボートでクロダイの落とし込みを始めるきっかけとなった。
6月3日、内田船長から、
「クロダイの釣果が出始めましたよ!
ちょっと試したいこともあるから釣りに来ませんか?」とのお誘いに、二つ返事で釣行を決定。
釣行した6月3日の干潮はお昼ごろで、上げ潮にかけてが狙い目ということで正午に本牧のお店に到着。受付を済ませ、足りない仕掛け類とエサとなるカニを仕入れて船着き場へ。
乗船するのはヘチ釣りのベテランでもある船長の父上.内田信行さん(大船長)と私。
出船前にまずはタックルを準備する。船長と大船長は2.1メートルのヘチ竿にタイコリールという陸っぱりの落とし込みスタイル。
私は一つテンヤ専用竿とレバーブレーキ装備のスピニングリール。道糸にハリス、そしてハリにガン玉だけというシンプルな仕掛けは、一つテンヤに通じるものがあると思ったからだ。もちろん、扱いやすい竿の長さや繊細なアタリもキャッチする穂先、大ダイが掛かってもヤリトリできるパワーなども魅力的だ。
1時少し前に出船。横浜港のベイブリッジ下を通過してポイントへと向かう。
「まずは岸壁のスリット(隙間)を狙ってみましょう。エサはカニです」と内田船長は船を岸壁に沿ってゆっくり走らせる。細く空いた隙間から白い波が出たり入ったりしている。その隙間めがけて仕掛けを投入するのだ。
あらかじめ道糸をたぐり出し、ハリの上を持って投入する大船長。クロダイが食ってくるのは海面から2メートルほどで、スルスルと沈んでいくラインがピタッと止まったらアタリだ。エサが落ちていく途中でクロダイがエサをくわえた証で〝止めアタリ〞という。
数分後、大船長の竿が弧を描く。玉網に収まったのは38センチほどの本命で、このポイントではレギュラーサイズとか。続けて操船しながら竿を出していた船長にも同型がヒットする。
一人蚊帳の外の私は、止めアタリがなかなか分からない。道糸を少しずつ送り出していると、糸フケが大きくなる。仕掛けは底に着いていないはず……止めアタリか?
すかさず合わせると、ガツンと重量感が竿に乗るも、すぐに消えてしまった。仕掛けを回収すると無惨に潰されたカニと、歯形が付いたガン玉が戻ってきた。
長大な岸壁を端から端まで探ってみるが、大船長の竿にもう1枚掛かったのみで、パッとしない。昨年は半日で40枚以上釣れたポイントだと言うが……。
Page1 カニが潰されて……
Page2 カラス貝で 50 センチ級
※本誌紙面では、カラーグラビア、仕掛図などがご覧いただけます。