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フィッシングライター◎山口 充
掲載号: 2009年9月15日号
1投目からガツン!
カッタクリ初挑戦の石井さんも大健闘。ちなみに娘さんも手釣りは得意なのだとか。母娘対決、見たいなあ!
今なら頑張り次第でこれくらい釣れます。本当です!
今期、相模湾のワカシが絶好調だ。
私にとって当地のワカシはとても思い出深い釣り物。中学生のころ、弟と2人で電車を乗り継ぎ、相模湾へ通ったものである。
ご存じのとおりワカシはブリの子。スーパーなどで広く販売されているあのブリの幼魚だよと言えば、近所に配るときに大いに自慢できた。
それより何より、たくさん釣れるこのワカシに数釣りの楽しさを教わったといってもいいくらいだ。
8月18日にお世話になったのは相模湾腰越港の孝太郎丸。
現地に着くなり、
「私、カッタクリでやるよ」と石井さんが宣言した。
理由を尋ねると、石井さんの娘が水産高校の出身で、カッタクリをはじめとした手釣りが得意なのだという。
そういえば彼女を釣りに誘うたびに、
「手釣りの道具ないの?」
「タチウオも手釣りでやってみたいな!」などと尋ねられたっけ。今回は石井さんも母の威厳を保つべく、カッタクリを勉強したいのだろう。
出船は午前6時。金子勝彦船長の操船でポイントの江ノ島沖へ向かう。ゆっくりと船を進めることおよそ15分。水深20メートル付近でアンカーを入れて釣り開始。
海上はナギ。周囲を見渡すと、なんとなく秋の気配が漂っていた。
「底から探ってください」という船長のアナウンスで仕掛けを投入する。
私はライトタックルの竿釣りで、仕掛けはウイリー巻きの3本バリ。石井さんはカッタクリで仕掛けは私と同じウイリー巻きの3本バリだ。
竿釣りで使う竿については好みもあるが、私はコマセをしっかり振りたいので、やや硬めを選んでいる。軟らかい竿はじっくり待って狙うのには適しているが、今期のワカシは絶好調、バンバンとコマセを振ったほうがいいだろう。
さて手釣りの石井さんだが、船長が付きっきりでカッタクリのイロハをレクチャーしている。道糸のさばき方やシャクリ方など、私も熟知しているつもりだったが、今こうして船長の動作を見ると改めて勉強になる。
ウイリー仕掛けを使ったカッタクリはステン缶を底まで沈めてからたぐり上げていくのだが、たぐりは、2手たぐって食わせの間を取る。この間をどれだけ取るかが重要で、潮が速いと思えば短めに、逆に緩ければ長めに取ったほうが、ウイリー仕掛けがコマセの煙幕の中に入りやすくなるのだ。
そんなことを考えながら釣りをしていたら、底から5メートルほどシャクリ上げたところでガツンときた。
「もうきたの?」と石井さん。
「引きが強いね……!」
水深が浅いこともあり、船ベリまで寄せても魚が弱らない。横に走ったり突っ込んだりの大暴れ。これは面白い。上がってきたのはワカシというよりイナダに近い30センチ級。丸まると太っていた。
「たまにイナダサイズも入るんですよ」と、私の魚を見て船長もニッコリ。
その後は船長も釣りに加わり、カッタクリでワカシを連釣していた。石井さんも慣れない手つきながら、ダイレクトな釣趣を楽しんでいる。
時間がたつにつれてワカシの活性は上がる一方。石井さんはカッタクリの動作に慣れてきたことも手伝い、ワカシのダブルを連発していた。聞けば手釣りだけに魚が追い食いする感覚も分かりやすいとのこと。
「さすが石井さん、覚えるのが早いなあ……」などと感心していたら、突然私の竿に引ったくるような衝撃。
まるで弾丸のような突進を繰り返して浮上したのはヒラソウダだった。ロッドキーパーに竿を戻して取り込もうとするも、ここからさらに走り回るからたまらない。
これぞうれしい外道というやつだ。ふと隣を見ると石井さんもヒラソウダを手にしていた。
マルソウダもヒットしてきたが、この日、ヒラソウダが底近くで掛かることに気づいてからはヒラソウダを多く釣ることができた。
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Page2 クーラーが満タンだ〜!
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