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[タチウオ]
内房金谷港発…久里浜沖 太海丸

生きイワシのタチウオ 食うと釣れるは別問題

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本誌発行人◎根岸伸之
掲載号: 2009年2月15日号

朝イチは釣れないはずが

 


この日も後半になって食いが立つ。一荷釣りは船中で3回あった
これぞ本当のムーチングロッド。こんな竿で釣るのも楽しいよ


 タチウオのご当地フィッシングとして、例年シーズン終盤に登場するのが内房金谷港出船の生きイワシエサ釣法だ。
 
 1月18日、訪れたのは金谷港の太海丸。ご当地名物のアジやクロダイの船宿として知られているが、冬季は生きイワシのタチウオが看板となる。
 日曜日とあって当日は太海丸のタチウオ定員いっぱいの10人が集まった。6時半に港を離れ、まずは港内にあるイケスでイワシを仕込む。
 船長によると、1人平均70〜80匹は使うという。パーフェクトに釣れるわけはないが、高価なイワシエサだけにせめて70の半分くらいは釣ってみたいと思う。
 30分ほど走って久里浜沖に到着。日曜日だし、相当の船団が……と思ったらまだ3〜4隻。考えてみれば出船時間から見て一番乗りは金谷の船、船団になるのはこれからだった。
 「こりゃ釣れる」と思ったが、「早いうちは釣れないんだよ、このところいつも帰り際だから、ゆっくりやんなよ」と船長にたしなめられる。
 各自に10センチ弱のシコイワシが5匹ほど配られた後、船長から投入合図。水深は約140メートルで、底から10〜30メートルの間を探れという指示だった。
 私の座った胴の間からミヨシにかけては、ほとんどが常連さん。皆さんそんな状況を知ってか知らずか、実にのんびりしたものだった。
 ところが1投目から左舷ミヨシの方がメートル級を釣ってしまったから大変。
 「今日はすごく釣れるかも」と大きく予想を覆す。
 朝イチの入れ食いかとも思ったが、上がってくるのはポツポツ程度。上げてみるとエサがない、もしくは頭だけ残っているという状況に皆さん苦戦しているようだ。船長はこまめにエサをチェックするようアドバイスしている。
 釣り方にしても強いシャクリはイワシが安定せず、結局は頭だけ残してかじられてしまうことになると船長。つまりはある程度の食いダナを決めて、聞き上げるような誘いを繰り返すことがいいと言う。
 そのためには当たったタナを教え合うことが大切だ。なにしろ今日のタチウオはほとんど魚探にも映らないので、船長もタナを指示しようがないというのだ。
 1時間半ほど様子を見て私も竿を出す。今日は釣り方を研究するほか、もう一つ試してみたいことがあった。それは竿選びだ。
 イワシエサは食い込みを促す軟らかめの竿がいいというのが一般的。そこで今日は一般的な80〜100号負荷のタチウオ専用2.1メートルのほかに、硬調ヒラメ用3メートルの2本を持参して、どちらがいいか試してみようと思ったのだ。
 まず最初は専用竿を使ってみる。110メートル前後というヒットゾーンの10メートル下まで仕掛けを下ろし、ゆっくり誘い上げてくる。
 5メートルも誘い上げたところでコンコンというアタリ。ここで合わせてもまず掛からない。いったん巻き上げを止め、2度目のアタリがきたところで何を思ったか大合わせ。見事空振りのお粗末だった。
 2投目、3投目ともアタリはあるが食い込んでくれない。というより、食い込ますことはできないのだ。上げてみればいずれも空バリ、もしくは頭だけのイワシが付いているだけ。
 4投目でコンコンの後、道糸にテンションをかけながら聞き上げてやると見事ハリ掛かり。なんとか95センチ級の初物を手中にできた。
 船中ではすでに10本近く釣っている人もいる。遅れてならじと投入を繰り返すも、アタリの出方や食いのパターンは様ざまで、掛けられるのは3投に1本の割合。食うと釣れるは別問題なのである。
 ただ、今日のタチウオはよほど活性が高いのか、それとも生きイワシのせいか、イワシが無傷で上がってくることはほとんどなかった。


 

 


 

 

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