開始から1時間。日が昇り、周囲が明るくなるにつれてイカの反応も下がってきたようで、180メートルダチ、200メートルダチと段階的に深い場所を狙っていく。
　イカの活性もいつしか落ちてきたようで、さっきまでの乗り乗りモードは一転しポツリポツリと上がる状態に。本船ばかりか、周りの船も乗り渋りに手を焼いているらしく、船団も散り散りになっていた。
　次にやってきたのは石花海よりもいくらか沖目となる相ノ瀬の210メートルダチ。イカの反応そのものは出ているようだが、やっぱり乗りは渋かった。
　こんな状況に変化が現れたのは潮が流れ始めた昼過ぎ。オモリが底に着くと同時にイカがズシズシと乗ってくる！
　
　待ってましたとばかりに仕掛けを入れると、いきなり乗った。リールの巻き上げスイッチを入れると、もの凄い重量感。海面に上がってきたのは胴長40センチ級の3杯掛け。いや〜うれしい！
　速い潮のせいもあり、1流し1投入という忙しい釣りではあったけれど、このときばかりは師匠をはじめ船中全員の釣り人が駿河湾らしい豪快な乗りに酔いしれた。
　沖揚がりは2時過ぎ。中盤は乗り渋りで苦戦したものの、後半に巻き返す展開で、終わってみればトップ40杯というまずまずの釣果。私の指導をしながら竿を出した師匠も30杯キャッチでニッコリ。港に着いたあと、船長に模様をうかがうと、「昨年は全然ダメだったけど、今年は反応を見る限りよさそうな気がする。これからは釣果はもっとのびてくると思うよ」とのこと。
　さて、私の釣果がどうだったのかというと……。「ヒー、フー、ミー……アラ、12杯!! スソじゃないのよ〜！
　せっかく一生懸命教えたのに……ナンなのよ、この体たらくは（怒）」
　というわけで、今回も帰りの車中は説教部屋と化したのでございます。トホホ。

［彌太丸］芝 敏文船長