初夏の訪れとともに、駿河湾のイサキ釣りも本格化。石花海（せのうみ）や合ノ瀬、御前崎沖、金洲など多数のイサキポイントがある駿河湾だが、5月中旬の時点では御前崎沖で好調に釣れているようだ。
　そこで5月13日、清水港の公翔丸から御前崎沖のイサキを狙うべく出かけてみた。
　
　午前3時、船着き場に私を含めて10名の釣り人が集まり、じゃんけんで釣り座を決めた。勝負事に弱い私は緒戦であっさりと負けてしまったが、最後に残った釣り座は左ミヨシ2番。過去、この釣り座で何度となくいい思いをした私は密かに期待しつつ乗船した。
　船が港を離れたのは午前3時半。御前崎沖までは片道2時間ほど要するが、キャビン内には定員分のベッドが設置されているため、道中はぐっすりと眠ることができる。
　5時半、エンジンがスローダウンしたのを合図に起床すると、ナギ予報とは裏腹にウネリが大きかった。前日は西の強風が吹き荒れたというが、今日もいくらか影響があるらしい。
　遠くに御前崎港の風力発電施設が見えたので船長に釣り場を尋ねたところ、マダイで有名なカド根であった。魚探の画面をのぞき込むと魚の反応で真っ赤。否応なしに期待は高まる。
　そして午前6時、45メートルダチで投入開始の合図が出された。私の仕掛けは全長6メートル3本バリ仕掛け。船長の指示ダナは海面下35メートルだったので、40メートルまでビシを下ろしてから、コマセを振りつつ指示ダナに合わせてアタリを待った。
　すぐにアタリが訪れると確信していたのだが、期待に反して全員空振りのまま1流し目を終えた。続く2投目、3投目も船中アタリはなく、船長は首をかしげるばかり。
　開始から30分ほど経過したときに右舷で単発的にイサキが釣れ始めたが、私がイサキを手にしたのは開始1時間後だった。
　その後も魚探に反応が出ているにもかかわらずアタリはまばら。私も開始2時間で5尾釣るのがやっとだった。
　無線から聞こえる他船の状況もよくないらしく、船内には早くも諦めムードが漂い始めた。
　そこで船長はカド根周辺の別のポイントに移動を決意。ここも魚探の画面には真っ赤な反応が映し出されていたが、先ほどのポイントでも同じような反応だったため、あまり期待せずに投入した。
　ところが指示ダナに合わせた直後、グッグッグッと竿を押さえ込むような心地よいイサキのアタリが伝わった。
　少し待ってから巻き上げると、30センチ級のイサキが掛かっていた。
　その後は投入のたびにイサキが釣れる状態になったが、ハリ掛かりした位置で追い食いを待っていても掛からず、先バリだけに単発的にヒットする状態が続いた。
　そこで1尾目をハリ掛かりさせたあと、少しずつ仕掛けを送り込むようにしてみるとこれが的中したのかトリプルヒット！
　その後もトリプルヒットが連続し、一気に30尾以上のイサキを手にした。