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本誌編集部/尾川泰将
掲載号: 2012年6月15日号
懐かしい餌木に最大が!
けれどもこれも単発に終わり、予報に反して南西風までさらし始めた。東の江ノ島は風速10メートルを超えており、大半の船が早揚がりだろう。
風裏でなんとか釣りになるのが小田原沿岸の大きな強みだが、小磯さんをはじめとする外ガイドの長竿は穂先絡みが頻発、かなりうっとうしい。その点、硬めのメバル竿らしき3メートルの中通しロッド&スピニングリールの組み合わせで釣っている島津さんはノントラブルだ。
「スピニングは重心が下にくるから楽にシャクれますよ」と口にして、船中3杯目を乗せた。0.5キロのミニアオリだがすでに時刻はお昼過ぎ、心底ホッとした様子だ。
餌木はアオリーQ.RSレッドエビ3.5号、全身真っ赤っかの1本。波にもまれた海は底まで濁ってしまい、
「魚探反応も底までゴミだらけ。赤とか黒の餌木を試してみて」
すでにそうアナウンスしていた船長の読みどおりの展開。暗い潮には暗色の餌木、緑の潮には緑色の餌木である。
「餌木の色は潮色に合わせる。この潮色なら、これが一番目立たないという餌木を選ぶ。もちろん絶対じゃないけど、それが基本だと思いますよ」
捕食される側の小魚の保護色をイメージして餌木を選ぶ。それが船長の持論だ。
そして沖揚がり直前の13時過ぎ、真っ赤な餌木は当日最大を掛けて一日を締めくくることになった。ポイントは朝と同じ港前、釣り手は短竿をシャクリ続けた佐藤さん。
風と波に船が振られて船下へ潜り込む道糸を、腕一杯にのばして賢明にかわし、なんとか浮上させたのは1.3キロの立派なサイズ。濡れると真っ赤に染まるその餌木は、アオリーQ.K9ピンク4号。今や懐かしくて涙が出る、一時代を席巻したあの1本だった。
感動的な幕切れも24時間の命。というのも翌20日の釣果は、乗合8名で船中14杯、しかも最大2.3キロだって……。完全に落ちてますね私。
ともあれ乗っ込みウエイブは何度か襲来するはず。潮回りからして、若潮から大潮へ移行していく6月初旬はかなり期待できそうだ。
平日さぼってでも、急行!
[泰平丸]鈴木繼寛船長
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