けれども、思いどおりにはいかない。徐々にマダイの食いは渋くなり、代わって登場しはじめたのはガンガン引き込む3〜4キロのメダイ。
　「おいしいんだけどメダイが回り出すだすと、マダイよりも先に食ってきちゃうんだよね」
　そう口にしながら、吉田さんが3キロのメダイを取り込んだ。興味を引かれたのは、そのハリ。遠投グレというケン付きのグレバリで、エサがずれにくく、なおかつ太軸で強いので気に入っているそうだ。
　ケン付きといえばチヌバリが定番だが、軸が細いので大ダイらしきに折られた経験があり、今はこのハリしか使っていないそうである。
　その後は、メダイやイサキが釣れ上がる合間に時どきマダイがポツンと釣れるという展開が続いたが、小型を含め、全員がマダイの型は見ている。そして、
　「あと1流しで仕舞いましょう」と船長がコールした最後の流しで、感動の珍事が起きた。
　吉田さん、後藤さん、仁科さんという順で、3人の竿が次つぎに海面へ突っ込む。てっきりオマツリかと思いきや、なんと3人とも別々の魚が付いて上がってきたのだ。
　吉田さんがメダイ。続く後藤さんが4キロ級のワラサ。そして仁科さんのハリには、乗っ込みらしい黒ずんだ雄のマダイが掛かっていた。それも当日最大の3キロだ。
　強烈なフィナーレとなった当日の結果は2キロ前後をアベレージに船中12枚。3枚を釣り上げた右舷ミヨシの増田さんがトップで、釣り方もセオリーどおりだった。
　なお御前崎沖は、四季に応じて竿入れ時刻（釣り開始時刻）が協定で決められていて、4月は6時半、5月は6時と早くなる。港の集合時刻も、これに合わせて早まるので事前確認のうえ出かけていただきたい。

［第二福徳丸］森田 和利船長