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本誌編集部/尾川泰将
掲載号: 2012年2月1日号
少年よ 果報は寝て待て !?
いわゆる「あやかりダイ」は数あれど、アマダイという魚は今や冬の釣魚として確固たる地位を築いている。色彩、味覚のすばらしさはもちろん、とぼけたその表情を見たとたん心が和む不思議な魚だ。初釣りでニンマリするにもうってつけ、マダイよりオデコの確率が低い安心感もいい。
1月2日、沖右衛門丸のアマダイ乗合は、総勢15名が乗り込む盛況ぶりだった。
冬の澄み潮が相模湾に差し込み始めた12月以降、釣果のほうがグンとアップしたせいもあるだろう。トップ10尾前後の日もちらほら見られ、船中オデコなしという好況を持続。40センチを超える大型も連日のように飛び出すとくれば、縁起を担ぐ赤い魚の中では間違いなく安定株といえる。
釣り客の中には小さな釣り人もいた。朝2時起きでお父さんと埼玉から来たという、小学校3年生の永浜葵(あおい)君だ。幼稚園のころから沖釣りを始め、夏〜秋のイナダ釣りに熱中、今やお父さんのよき相棒だとか。
アマダイ釣りは今日が初めてとのことだが、この寒空の下で竿を出すとはただ者じゃない。
大漁旗をなびかせて、各乗合船が沖合へ繰り出したのは朝7時。木村繁船長が舵をとる当船は茅ケ崎〜大磯沖の水深80メートル前後のポイントへ向かい、転々と探り始めた。
たぶん釣り客全員、そして船長もアマダイはすぐに顔を出すだろうと踏んでいただろう。ところが30分、1時間と経過してもアタリは遠く、付けエサもそのまま戻ってくる。
左舷胴の間でようやく1尾目が釣れたものの、これが18センチのちびアマダイ。
「こんな小さいの、今まで見なかったんだがなぁ……」
今シーズンの実績ポイントをくまなく探ってくれる船長も、開いた口がふさがらない。
シャッターチャンスが訪れないのであれこれ聞いて回ると、仕掛け全長は2メートル、タナはおおむね底から50センチ〜1メートルほどオモリを上げた位置。ゆっくり仕掛けを上下する人、海底を小づいて誘う人、3メートルのマダイ竿で置き竿に徹する人など釣り方も様ざまだ。
こちらも左舷胴の間から竿を出し、図にあるようなショート仕掛けで小づいたりシャクったりして、やる気のないアマダイを奮い立たせようとしたが、たまに掛かってくるのはタマガンゾウビラメやトラギス類のみ。
どうにも打つ手がなく、こうなったら釣り少年.葵君の釣運に期待……と見れば、
「釣れないので寝てます」とお父さん。こりゃ大物だわ。
Page1 少年よ 果報は寝て待て !?
Page2 終わってみれば 12 名にお年玉
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