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本誌編集部◉斉藤貴伸
掲載号: 2011年4月15日号
最も実績のあった釣法がノーヒットに終わる
さて、左舷胴の間の釣り座から竿を出す。初めはこの5年間で最も実績の高い、冷凍ヤリイカでカンパチを狙ってみる。このヤリイカは南房白浜沖で3月の初めに釣ったものを、その日のうちにきっちりラップして冷凍した物。
ここまでヒットしていたカンパチは、ルアーのロングジグのヒット率が高いことから、生きエサを狭い範囲で泳がせるよりも、底から広く探った釣り方が有利と思える。
用意したヤリイカは胴長20センチ未満の小型を選んであるので、サイズはロングジグと大差はない。ただイカエサではこれまでの経験上、ゆっくり誘いをかけて止める間を入れながら探る釣り方が効果的になる。速いスピードで動かすジグとはかなりアクションに差があり、その点が気がかりだった。
とび島丸特有の早い潮回りに合わせて、2度3度と投入を繰り返すが、アタリはない。それどころか、小魚に狙われやすい足さえ残っている。底の魚の反応が悪いようだ。
作戦を変更し、カッタクリ仕掛けをショートテンビンに付け、底からスピードを付けてシャクってみる。コマセシャクリの動作をスピードアップさせたような感じだ。
1.7メートルの竿なのでこんな操作はやりやすい。タックルに関しては狙いどおりだったが、しかしこれでもアタリはない。
次なる手は身エサの誘い釣り。エサは木更津沖で釣ったアナゴと銚子沖のサバ。ヒラヒラと動くアナゴは15センチ長に、光り具合に期待したいサバは10センチ長だ。ルアーに最も近い攻め方ができるはずなのだが、これもだめ。
だんだんカンパチ狙いの打つ手が底をついてくる。
一方、右舷で私と同じくワンタックルで釣っていた沼上さんは、4キロと2キロのマダイをキャッチ。さすがに狙いどころを外していない。
この日は、ほとんどネープルス近くのポイントを狙ったが、カンパチはルアーチームが7本ヒットさせ、最大は納竿直前に健斗君が釣った4.8キロ。
エサ釣りではカンパチは満君の1本のみ。マダイが2枚、イサキ、ウメイロに加え、小型のシマアジが多数。他船では12キロのオオカミが上がっているので、シマアジ、マダイを本命視してもいいかもしれない。
帰港後、18号船ではアジエサで加藤さんが8.6キロのイヤゴハタを釣り上げたことを知る。
これほどエサ釣りが苦戦した解禁は記憶にないが、忠文船長によれば、反応はバリバリなので、潮加減では必ず食ってくるという。
ワンタックル作戦はある程度いけるとめどが立ったし、これからの長いシーズン、お楽しみは次の機会に取っておこう。
[とび島丸]右から鈴木忠文船長、 助手の飯田健斗君、仲乗りの國島満さん
Page1 かつて経験のないベタナギの解禁日
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