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本誌APC(東京)/鈴木良和
掲載号: 2011年3月1日号
不安いっぱいのスタート
魅力一杯の寒イサキ。身のうまさに驚くはず
イサキの魅力といえば、キュイーンと伝わる引きと食味。とくに寒い時期は身に脂が乗って、刺身にすると滑らかな舌触りが楽しめる。
定番の塩焼きやナメロウにして、ご飯や酒の友としても言うことなしだ。
1月30日。イサキを楽しもうと私は一路勝浦へ車を走らせていた。助手席に座っているのは釣友の野木麻衣子さん。新調したばかりのリールを抱え、「イサキを釣ってリールに魂を入れるの!」と心を弾ませている。
今回お世話になるのは勝浦川津港の鈴丸。イサキ釣りを得意とする船宿で、多くのファンに支持されている。
当日の乗船者は9名。全員の準備が終わったところで6時過ぎに出港となった。
このところ30尾以上の釣果で安定しているということで、釣れ具合については安心していたのが、船長によると前日から沖に速い潮が入ってしまい、本来の釣り場である三本松に入れなくなってしまったという。
そんな話にいくばくかの不安が脳裏をかすめたが、釣り場の川津沖に到着して潮回りをしていると、魚探にはイサキらしき魚影が映し出されていた。
「いいですよ!準備のできた人から始めてください。水深は38メートル。タナは海面から25メートルです」
イサキ釣りは船長に指示されたタナよりも、4〜5メートル深くコマセカゴを沈め、5秒ほど待って仕掛けが潮になじんだらシャクリ上げて指示ダナで待つのが基本だが、大切な要素が3つほどある。
まずは正確なタナ取り。イサキ釣りはタナ取りがすべてと言っても過言ではないが、寒い冬場はエサを追って魚が浮くことは少ないので、船長の指示ダナへ正確に仕掛けを合わせることが重要だ。
次はコマセワーク。コマセを振りすぎるとイサキも散る傾向があるので、絞り気味にパラパラと出す程度がいい。潮の速さにもよるが、下の窓は水が抜ける程度にし、上窓は3分の1くらいに開けるといいだろう。
そして誘い。コマセを振ったあとで止めているだけでは食いは今イチ。コマセに寄ってきたイサキにエサの存在をアピールするために、竿を軽く上下させて仕掛けを動かしてやったほうがいい。
さて、開始と同時にイサキがバタバタと釣れ上がる光景をイメージしていたのだが、1流し目は船中アタリなし。次の流しでは左舷の3名が竿を曲げたが、全員1尾ずつと振るわない。
これはどうしたことだろう。その後もポツリポツリと単発で釣れる状況が続いた。
潮は右舷から左舷へと流れているようで、野木さんが座る左舷はとくに苦戦しているように見えた。
そんなとき、
「やっときたよ!」と電動リールのスイッチを入れて巻き上げにかかる野木さん。ところが抜き上げる瞬間にハリから外れて、新調したリールでの初ヒットは痛恨のバラシに終わる。
「ああ……デカかったのに」傷心の彼女であるが、イサキは割と口の弱い魚だ。強引な巻き上げや抜き上げでバレてしまうことも多いので注意が必要である。
おまけにこの日は強風に仕掛けがあおられ、次つぎと仕掛けがダメになっていく。野木さんはなかなかリズムに乗れないようだ。
船長の話では釣り場の底潮が冷たく、イサキの活性も低いらしい。
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