すると3流し目、オモリが着底したあとで底ダチを取り直して竿を大きくシャクると「ズン！」と乗った。
　そのままゆっくり巻き上げながらタナを探り続けていると、何杯かのイカが追い乗りして、私は4杯のスルメを取り込むことに成功。その後もう一度底でシャクってからゆっくり探り上げてみると、また4杯掛け。
　さらに10時くらいに迎えた流しで、巻き落としをしたあとに底で1度シャクると、ズシン！
　とこれまでにない重々しい感触。これは何杯か掛かっているはず。
　そのまま手巻きで少し誘い続けたあと、電動リールの巻き上げスイッチを入れるとさらに重みは増した。
　「これさ〜、たくさん掛かったと思うよ〜！」と村上記者に声をかける。心の中はもちろんＶサイン。巻き上げる最中もうれしさで笑みがこぼれてしまった。
　やがて電動リールの巻き上げが止まり、中オモリに手を掛けた。ふと海面を覗き込むと、一番上のツノからズラーッとイカが乗っている。
　
　1杯、2杯、3杯、4杯、5杯……と数えながら取り込んでいくと、なんと9杯掛けだった。たった1度の投入でこれだけ乗ってしまうのも17本ヅノの威力だろう。
　その後は単発か、よくてダブルというポツポツの乗りに落ち着き、私にとっても苦しい時間帯が続いた。
　この日の私は派手な多点掛けはあるものの、1杯を拾うような展開になると、どうしてもみんなに比べて乗りが遠いように思えた。電動シャクリのリズムが悪いのか、巻き上げ速度が合っていないのか……どこかに原因があると思うのだけど。
　ところが終盤になるとなぜか電動シャクリのリズムが合ってきて、4杯掛けを決めることもできた。
　沖揚がりは13時。船中釣果は20〜29杯。私はなんとか竿頭を取ることができたけど、触りがあっても掛けられなかったイカが多く、攻め方の工夫が足りないなど自分なりの課題が残った一日だった。でも軟らかくておいしいムギ〜ニセイカ級の船上干しがたくさん作れたので、それなりに満足している。
　相模湾のムギ＆スルメイカは今後も成長を続けながら城ケ島方面へと釣り場も拡大していく。皆さんも夏の釣趣と食味を求めてチャレンジしてください。

［森健丸］新倉 知船長